弁護士等情報

弁護士列伝原義(上原邦彦)

Q1 なぜ 弁護士になろうと思われたのでしょうか?

A1 生活が安定していると錯覚したことと、人に頭を下げずに一生を過ごせるかもしれないと思ったためです(当時、司法試験合格者は、年500人でした。) 左耳が全く聞こえず、右耳も軽度難聴でしたので、席を固定される と、人との会話が成り立たなくなります。弁護士なら、相談者に座る席を指示したうえで、相談者に聞こえる耳を向ければ対話が可能ではないかと考えたからです。
 志の低い答えで、すいませんねえ。

Q2 先生は昨年の東日本大震災以来、毎月多額の寄付をされているとともに、HPにてその詳細や、お受けになったお礼状などを公開していらっしゃいます。
 国難に対するこのような積極的な行動には、どのような想いがあるのでしょうか?

A2 よくぞ聞いてくれました。毎月200万円を震災寄付金として送っています。その理由は、HPの所長挨拶で「2011年3月11日から1週間テレビに釘づけになり、胸潰れる思いをしました。気がつくといたるところに義援金・震災寄付金を送り続けており(2012年)9月4日現在で3400万円になりました。今後も続けていきます。2011年11月30日に梅田移転後、経費がべらぼうに嵩み苦しいのですが、無理して毎月約200万円を振り込んでいます。国難に際して、同朋を助けるのは、国民の義務であると思いますし、私は経営者ですから-といっても零細事業の経営者-、事業を通じて得た利益は、社会的大義に使うべきだとの意見は、正論であると認めざるを得ないからです。」と書いたとおりです。
 日本に寄付文化を創ろうとの意図も持ってHP上での公表を始めたのですが、震災から1年半たって、日本人、日本民族には深く失望しました。
 国にはお金がありません。40兆円の税収しかないのに、90兆円の歳出が必要なのですから。残るところは、1億2000万人の国民が心を一つにして、東北を助けることだ、それは可能だと、当時は思い込んでいました。
 国民の個人金融資産だけで、1500兆円あるのですが、義援金・震災寄付金として、日本国民が支出した金額は、1年半たった今も、1兆円に満たないのではないかと思われます(1年経ってしばらくのころと思いますが、新聞に載ったエッセイのなかで、国民が出した義援金・震災寄付金総額が書いてあり、それを見て、愕然とした思いがあります。図書館でその記事を探し回りましたが、見つかりませんでした。)。
 そのため、日本民族は一部の例外を除けば、利他性が希薄な口舌の徒にすぎないと考えるに至りました(以前、「同情するなら金をくれ」と子供が言うドラマが話題になりましたが、日本人の人間性の真実を衝いていますね。)もちろん震災直後に2億円寄付した元アナウンサーの久米宏さん、年間純利益の4割に当たる130億円を寄付したヤマト運輸、4年で100億円の寄付を公表した三菱商事その他の方々のような例外はありますが、1500兆円の個人金融資産に着目すると、日本人は卑小な民族であることが判明します(そういえば、卑弥呼の卑は、卑しいという意味でしたね。あれから、まだ、1800年弱しかたっていないのでしたね。)。
 今後何千年、何万年かかっても、日本民族を偉大な英雄的な民族に鍛え直していく必要があると考えるようになりました。

Q3 弁護士の人数の増加などによって、弁護士資格さえあれば安泰、という時代から、弁護士自身が経営能力を身につけ、ビジネスの側面からも業務をすることが必要とされるといわれる時代になりました。
 そのような中で、梅田の一等地に移られ、過払い・任意整理の問題を多く扱われていらっしゃる先生は、どのようなことを感じながらお仕事をされていらっしゃるのでしょうか。

A3 これも、HPの所長挨拶を読んでいただければ、詳しく書いています。
 過払い・任意整理のお客様は、総じて言えば、収入、学歴が低く、有給休暇が取れないような不安定な職場で働いており、平日の昼間に相談に来ることができない方が多く、日曜・祝日でないと相談に来にくい方が多く、また、夜遅くなら、何とか時間を取って相談に来ることが可能な方々が多いのです。
 そのようなお客様と対話しながら、お客様が顕在的、潜在的に求めておられることを想像力を使って解釈し、経営モデルを作ってきました。相談料、着手金完全無料、365日朝9時から夜10迄弁護士面談がそうです。「弁護士3名東大・京大卒」は同業者や修習生からは、反感をもたれるフレーズですが、相談者からは歓迎されているフレーズです。私は経営者ですから、ターゲットの深層心理に合わせた経営モデルしか作りません。但し、同業者の方なら先刻ご存じのように、東大・京大卒には、私がその典型であるように、ものの役にたたない人物が多く混じっています。そうした人物を排除するために、新司法試験合格者のうち司法試験の成績順位が合格者2000名中の、399番以内と言う基準を作ったのです。一橋大、早稲田、慶応、中央、阪大、神戸大その他どこにも優れた人材がいるのは真実ですが、広げていくと宣伝の際の焦点を失います。当事務所は、不特定多数の一見のお客様を対象としていますので、少ない情報量でお客様の注意をひきつけるために(これこそが、宣伝の王道です)偶々めぐり合わせで存在した東大・京大卒に絞っているにすぎません。優良な顧問先(多くは、企業でしょうからそもそも宣伝などには目もくれないでしょう。)を多く持った法律事務所なら、出身ロースクールをあまり限定することなく、主として学業成績に絞って採用するでしょうし、現にそうしていますが、当事務所はいかんせん、顧問先はゼロですので宣伝に頼らざるを得ず、勢い、経営モデルも違ってくるのです。前提が違えば、戦い方も違ってくるのは、兵法のいろはでしょう。
 他方で、私はお客さまの要望に盲従することも、事務所がつぶれる要因になると警戒しております。利益を上げること或いは、少なくとも赤字にしないことが事務所存続の絶対条件だからです。さらに、経営モデルには、私個人の感性が加わっています。交通費半額負担は、業界初でしょうが、これは、お客様の要望から出発したものではなく(お客様にはそんな発想はできません。)、私の感性に由来するものです。事務所屋上に黄色い大きな広告塔を借りデジタル時計を付けましたが、これも私の感性と、私なりのユーモアの産物です。JR大阪駅周辺から大通りに架かる歩道橋を通って阪急電車梅田駅に向かう膨大な数の人々は、必ず、この時計を見ます。「お疲れ様。」「とても涼しくなりましたね。」「「・・・・・」などと、私は道行く人たちに挨拶しているのです。
 JR大阪駅徒歩2分、ヨドバシカメラ前の梅田の一等地(家賃の高いこと!)を一目見て、「これだ。」と兵庫県西宮から移ってきたのも、感性の問題です。同じものを見ても、人の解釈や評価は分かれるものです。事実、勤務弁護士4人のうち、2名は移転してきませんでした。
 毎月広告宣伝費に途方もないお金を使っていますが、いつ事務所は潰れるのだろう、明日だろうかと毎日悩んでいます(この10年で、もう駄目だと思ったことは何度もあります。お陰で、不感症になりましたが、それでも心配ですね。アルバイトも含めると30名余りの雇用に私は責任を持っているわけですから。)。
 ちなみに、ラジオやテレビの宣伝文は全部私が作ります。これも感性の問題でしょう。コピーライターの類は、無能なのが多く、軽蔑しています。
 要するに、お客様の顕在的、潜在的欲求と私の想像力、感性との相互作用に基づく合作を日々創ろうとしているのです。うまくいっているわけではありませんが。

Q4 貴事務所は、業務時間の大幅な拡大や、相談料・着手金の無料、交通費の半額負担等、他の事務所が気づかなかった、また、やろうとしなかったサービスを数多く行っていると拝見いたしました。
 貴事務所のようなサービスを行う事務所が、増えるためにはどうすればいいのでしょうか?

A4 競争をせざるを得ないように弁護士人口を増やすことです。そのためには、弁護士の需要よりも供給を多くすることです。生きんがため、いやおうなく顧客への法サービスの改善に全力を尽くすようになるでしょう(国選弁護や民事法律扶助の希望者が格段に増えたのは、弁護士人口が増えたからです。弱者にとっては、弁護士人口の増加は歓迎すべきことです。)その際、弁護士の質の低下と不祥事を防ぐために、政府から独立した第3者機関(弁護士は、権力と戦う使命を持っている存在でもありますので、弁護士を保護するために政府から独立した機関を作る必要があります。それが、国民を保護することになります。国民主権の実を上げるため、その機関の議決権を持つ人は、法曹3者以外から選ぶべきです。)を設置し、弁護士自治を廃止し、独立機関が、弁護士の懲戒を行うとともに、独立機関のHPに例えば、弁護士名を入れてクリックすれば、弁護士の懲戒の中味(戒告は、事件放置事案が多いので、弁護士を選別する上で国民が真っ先に知りたいところですが、それは、マスコミで騒がれた事案を除き、弁護士会は国民に公表することを避けています。この点につき、弁護士会は、国民の利益よりも弁護士の利益を守ることを優先しているのです。)はもちろん、弁護士の出身大学、出身ロースクール、司法試験での合格順位その他できるだけ詳しい情報が一瞬で国民に判明するようにすることです(そうすれば、無能で職業倫理に欠ける弁護士に国民が酷い目にあわされる前に、その弁護士の能力、職業的良心をかなりの程度知ることができ、おかしな弁護士を避けることができやすくなります。)。
 また、日弁連の広告に関する規程は、競争に対する嫌悪心、競争の回避意識が見え隠れして時代にそぐわないので、「消費者の選択の自由や事業者の創意工夫を妨げる規制」(平成13年3月30日閣議決定 規制改革推進3カ年計画の概要参照 なお、閣議決定は政府が変わっても拘束力を持つ。)であるとして、これを廃止し、独立機関のもとで、競争重視、顧客重視の思想に基づき弁護士の創意工夫を自由に活かし以て国民の権利、利益に資するように根本的に創りなおすべきです。
 これらを行えば、国民の犠牲を防ぎ、質の低い弁護士を淘汰することができ、かつ、国民に役立つ有能で誠実な弁護士が輩出するでしょう。
 こうして、国民と弁護士の距離が近づくでしょう。
 国民の利益は、弁護士の利益に優越します。これが、国民主権の意味です。
 13年前の2001年6月の司法制度改革審議会意見書には、「弁護士に関する情報の開示を一層推進すべきである。」としていますが、今もって、戒告を原則として公表しない一事を以てしても判断できるように、弁護士会や日弁連の自己改革(半世紀近く前の1964年5月27日定期総会における日弁連の司法改革に関する宣言中の言葉)に期待するのは無理というものでしょう。
 自分で自分を裁くのは、原理的に不可能ですし、それは世界史の教えるところです。
 すなわち、弁護士及び弁護士制度については、他律的改革が必要と考えます。
 具体的に考えてみましょう。 新64期は、昨年(2011年)12月の一括登録時には、400名が未登録でしたが、本年(2012年)7月2日現在で、65名に減少。・・・即独者が55名と推定されると日弁連理事会に報告されています(日弁連理事会第4回理事会議事概要(速報)2012年7月30日-37頁)。弁護士志望者約1800人中、約1700名は、就職できているのです。これでは競争圧力が弱いと言えます。
 2011年11月に日弁連が法律事務所あてにおこなったアンケート調査によると、「新卒弁護士の年俸については、400―499万円が最多となって・・」いると日弁連理事会に報告されています(日弁連第1回理事会議事録概要(速報) 2012年4月27日-6頁)。新卒弁護士のほとんどは、20代の若僧です。国民の平均世帯所得額(538万円。一人ではなく、世帯ですぞ。)に比べると、結構な額でしょう。

Q5 先生は、地方と都心の両方でそれぞれお仕事をされ、土地柄による違いなどを感じられましたか?

A5 感じませんでした。逆に、日本人は、地方、都心を問わず正直であると感じました、本年(2012年)7月から来所時の往復交通費の半額を当事務所で負担する制度を創りました。相談者や打ち合わせの方が来るたびに、お金がゾロゾロ出ていくのですから、真剣になりました(下手すれば、赤字か?と覚悟して始めたことです。)。
 当事務所の相談予約カードには、相談者の住所を書く欄はありますが、勤務先の住所を書く欄はありません。従って、勤務先所在地は、こちらでは分かりません。
 だのに、定期で来ていますので、実費は発生しませんと言ったり、また、京都からの方が100数十円の額しか書いてないので、もっとかかったんじゃないですかと聞いたら、会社までは定期を使用し、会社から来ましたので、実費だけを書きましたと答えられたり、或いは、友人の車に同乗させてもらってきたので、交通費はかからなかったと申告したり、ばれる心配はないのに、正直に述べられます。
 また、辞退される方もおられ中には、「自たいします。」と書かれた方がおられました。教育は低いが誇りは高いと敬意を覚えました。
 相談者に、「なぜ(ほとんどの人は)正直に言うんだろうな?」と聞いたところ、「日本人は律義なんですよ。」と答えられた方もいらっしゃいましたし、「嘘ついたと思うことが耐えられないんだと思いますよ。日本人は小心なんです。」とおっしゃられた方もおられました。
 関西人や大阪人はがめついとの評価を、俺はずいぶん聞いてきて、そんなものかなと思っていたが、あれは間違いだぜ、東京の連中が関西人を見下して述べた風評被害だ、と私は、事務員さんに冗談交じりでかつ真剣に言ったりしています。
 私は、震災寄付金毎月200万円を継続することによって、日本人の底の浅さを発見することができました。交通費半額負担制度を実施することによって、日本人の正直さを発見することができました。両者に共通するのは、私が犠牲を払った時に、始めて真実を発見することができたという事実です。

Q6 今までどのようなお仕事をされてきましたか?また、現在どのようなお仕事をされていますか?

A6 庶民の側の仕事をしてきました。HPの私の手記集を読んでいただいたらお分かり頂けると思います。私には弁護士能力はありませんでした。公害事件等にはその他大勢で参加したことは何度かありますが、実動部隊ではありませんでした。合唱役みたいなものです。
 ここ2~3年は、過払い・任意整理に特化しています。これも庶民の側ですが、貸金業者には、金を持っているところがありますので、弁護士になってはじめて経営的に潤いました。

Q7 弁護士としてお仕事をするうえで意識していることは何ですか?

A7 二つあります。一つは、相談者の真意をつかもうと真剣になることです。二つは、依頼者と金の問題で、揉めることだけはしたくないということです。気の毒な事案では、率先、減額免除します。
 明日の運命は知る由もありませんが、約40年の弁護士生活で、紛議(依頼者との金銭紛争)や懲戒の問題に巻き込まれたことはありません。
 暴言は若いころから随分吐いてきたし、今も吐き続けており反省しています。

Q8 先生は、御自身の詳しい素敵なエピソード等をホームページに記載していらっしゃいますが、これらは、どのような方に読んで頂きたいと思われますか?

A8 過払い・任意整理の相談に来ようかどうしょうかと踏ん切りがつかなくて悩んでいる方々に読んで頂ければと思います。

Q9 現在、法曹界を目指している方に向けてのアドバイス等をお願いいます。

A9 成績が優秀でなければ、弁護士になっても、地獄の日々だと思います。
 私は、何十年も苦しみました。
 見切って、公務員になることも大切な選択肢の一つだと思います。
 弁護士会や日弁連は、弁護士増員による競争により、収入減が起こりはじめていることに恐慌をきたし、組織防衛の本能が働き、法曹人口の増加に躍起になって反対し、司法試験合格者を1500人さらに1000人に減少をなどと叫び、未来の仲間殺しに精を出しています。業界団体とはそういうものです。しかし、弁護士会や日弁連と国民間の矛盾は、静かに潜行し進んでいると私は考えています。日本の閉塞状況を突破するための、統治機構の改革等とあいまって、矛盾は一挙に噴出し、弁護士自治は廃止の方向に向かわざるを得ないでしょう。
 日本を3流国に転落させないためになにをすべきかを、日本の行く末と世界の動向を見渡して熟慮した上で、 優秀な若い人々が法曹を目指されることを、国家、民族の将来のために、心から期待しています。

<平成24年9月取材>

(あとがき)
 インターネットで、弁護士列伝 上原邦彦と検索すると、平成24年9月に、私が学生から取材を受けて、回答した言葉が出てくる。それは、私が元々述べた言葉から毒ある部分、人をからかっている部分を、学生が削除して構成した文章である。一言で言えば、別のものである。そこで、弁護士列伝原義として、元々あった言葉を復活して、HPに載せた次第である。ただし、1部補足した。

(平成24年10月6日記)